公演其ノ三「八卦楽園」

よしこ公演其ノ三「八卦楽園」は1995年盛岡劇場にて上演されました。
忠犬ハチ公をモチーフにした作品。
ラストに降らせた金と銀の紙吹雪が、今後数多く現れる「降らせ物装置」の原点となりました。
ハチのたどたどしい言葉遣いがいじらしく、多くの人の感動を呼んだ作品でした。
 


八卦楽園のチラシ
 

*あらすじ*

ハチは飼い主であるおやびんの帰りを待っている。
いつもそうしているように、今日も同じ場所で5時の汽車を待っている。


 ハチ 「いつも5時なるあの汽車来る。おやびん帰る来る。」


そんなハチの前に現れる人々。
郵便配達をするナンジャロという少年は旅立つ人への手紙を届けながら、飼い猫を探している。
ミルナとキクナという姉妹。姉であるキクナの死を受け入れられず、ずっと行動を共にしている。
モンジャロと言う猫は未来を占う事が出来ると言う。ハチが自分の未来を尋ねると
モンジャロ 「白い、白い物が見える」

 ハチは待っている。ナンジャロと手紙を書きながら。
 ミルナとキクナが蝶を捕まえているのを見ながら。
 モンジャロと過ぎ行く季節を見ながら。

そして、それぞれの別れ。
ナンジャロは飼い猫であるモンジャロと出会えた。向こうの世界へと旅立つ汽車の切符を渡すナンジャロ。

 ナンジャロ 「今度生まれ変わっても、また僕のそばに生まれておいで」

うなづくモンジャロ。

『ハチ公物語』の本を読むミルナのもとに現れたキクナ。


 キクナ 「いつだって一緒だよ」


そしてキクナもまた汽車に乗り、旅立っていった。

そんな事があっても、ハチはおやびんを待ち続ける。
雪が降り、皮膚が溶け、体中がボロボロになっても、おやびんのくれたリボンを握りしめながら・・・・。


 ハチ 「おやびんの匂い。会いたいよ、おやびん」


汽笛が鳴る。汽車の走っている音が近づいて来る。そして…


 おやびん 「ただいま、ハチ」


ハチは静かに目を閉じた。


 

 

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